トルコ植毛で起こる事故とは?3つのパターンと実際の事故事例を紹介

2025.07.18

2025.07.17

トルコ植毛

トルコ植毛で起こる事故とは?3つのパターンと実際の事故事例を紹介

驚くほどの低価格と高い技術力で世界中から注目を集めるトルコ植毛ですが、その裏には「事故」のリスクが潜んでいることも事実です。

誰もが「なるべく安く手術を済ませたい」と思うものですが、安易に格安クリニックを選んでしまうと、取り返しのつかない事故に遭遇してしまう可能性があります。

この記事では、トルコ植毛で実際に起こりうる事故の具体的なパターンと、報告されている事故の事例を詳しく解説します。

さらに、最悪の事態を避け、安心・安全に植毛を成功させるための具体的な対策や、渡航前に必ず確認すべきチェックリストを紹介しています。

トルコ植毛を真剣に検討しているあなたが後悔しないように、ぜひ最後までご覧ください。

トルコ植毛の事故につながる3つのパターン

トルコ植毛の事故につながる3つのパターン

トルコ植毛で事故が発生する背景には、いくつかの共通したパターンが存在します。
多くは、クリニックや仲介業者が利益を優先することで、安全面への配慮が欠けてしまうケースです。

なぜ事故が起きてしまうのか、その典型的な3つの原因を深掘りします。

極端に安い価格設定のクリニックで植毛を受ける

トルコ植毛の最大の魅力は費用面にありますが、相場を大きく下回る「格安」を謳うクリニックには細心の注意が必要です。

なぜなら、その安さの裏には手術の質や、安全性に関わるコストが削られている可能性が高いからです。

例えば「医療器具の衛生管理」です。

通常メスやパンチなどの手術に使う器具は患者ごとに使い捨てるか、完全に滅菌処理をしなくてはなりません。

しかし、コスト削減を優先する悪質なクリニックではこの工程を簡単な洗浄のみで済まし、器具を使い回すケースが報告されています。

こういった行為は感染症を引き起こすリスクに直結します。

また、人件費の削減も行われることがあるようです。

本来は経験豊富な医師が担当すべき工程を、研修医や資格を持たないスタッフに任せることでコストを抑えようとします。

結果として、専門知識や技術が不足したスタッフによる施術が行われることで事故につながるのです。

安すぎる価格には必ず理由があることを知っておきましょう。

現地の仲介業者が利益優先で危険なクリニックを紹介する

日本からトルコ植毛を行う場合、現地のクリニックと直接やり取りせず、日本語対応の仲介業者や窓口を介すのが一般的です。

多くの業者は患者に寄り添った優良なサービスを提供していますが、残念ながら利益だけを追求する悪質な業者も中には存在します。

彼らの目的は、患者の安全や満足度ではなく、クリニックから得られる紹介料です。

そのため、手術の質や衛生管理に問題があるクリニックであっても、紹介料が高額であれば平気で患者に紹介します。

公式サイトやパンフレットには腕の良い医師の写真を掲載しておきながら、実際には無資格のスタッフが手術を行うような「ゴーストクリニック」と提携していることもあるようです。

このような業者は、良い情報ばかりを並べ立て、リスクやデメリットについては一切説明しない傾向があります。

仲介業者を選ぶ際は、その業者が本当に患者の立場に立っているのか慎重に見極める必要があります。

通訳の質や翻訳ミスによってコミュニケーションがうまくいかない

言語の壁は海外で医療を受ける上で最も大きな壁の一つです。

そのため、通訳の質が手術結果の質にも影響するといっても過言ではありません。

特に植毛手術では、術前のカウンセリングで希望するヘアラインのデザインや密度などを医師と詳細にすり合わせる必要があります。

このすり合わせの中で通訳の質が低く翻訳にミスが生じると、深刻な問題につながる可能性があります。

例えば、患者が「自然なM字ラインを残したい」と伝えたつもりが、誤訳によって「M字を完全に埋めてほしい」と伝わってしまった場合、全く望んでいないデザインに仕上がる可能性があります。

通訳の質が低い場合に起きる可能性のある問題は、単なるデザインの失敗に留まりません。

アレルギーの有無や既往歴といった重要な医療情報が正しく伝わらなければ、命に関わる事態に発展する危険性もあります。

質の高い通訳は単に言葉を置き換えるだけではなく、医療の専門用語や文化的背景を理解した上で、医師と患者の間のコミュニケーションを正確に橋渡しします。

取り返しのつかない結果にならないよう、医師だけではなく、通訳の質にも注意するようにしましょう。

トルコ植毛で実際に起こった事故・失敗例

トルコ植毛で実際に起こった事故・失敗例

残念ながら、前述したような原因によって、実際に深刻な事故やトラブルが発生した事例が報告されています。

これらは決して他人事ではなく、トルコ植毛を検討するすべての人に起こりうる可能性があるものです。

ここでは実際に起きた2つの事故事例を紹介します。

衛生管理不足から感染症にかかり植毛部位を切除

海外のある口コミサイトでは、「トルコで植毛手術を受けた3週間後に移植した部分が感染症を起こしてしまった事例」が写真付きで投稿されています。

この投稿者によると、頭皮に大きな膿の塊ができ、現地の医師によって膿とその周辺の毛包を20〜30個ほど摘出する処置が行われたとのことです。

上記のサイトで医師は、このような術後の感染は手術時の衛生管理や術後ケアの指導が不適切だった場合に起こりうると指摘しています。

投稿者の最終的な経過は不明ですが、感染がさらに深刻化し、組織の壊死が始まると手遅れになることがあります。

その場合、感染の拡大を防ぐために植毛した部分の頭皮を広範囲にわたって切除しなくてはならなくなるケースが多いです。

薄毛を解消するはずがかえって頭部に大きな傷跡を残すという、取り返しのつかない結果に繋がる可能性があるのです。

参照:I am from Bangladesh. I had a FUE hair transplant on 20th May 2015 in Turkey. After 3 weeks I got an infection. (Photo)

無資格の医師による施術で頭皮が壊死

国際毛髪外科学会(ISHRS)は、無資格者による違法な植毛手術のリスクについて警告を発しており、そのサイト上で事故事例を公開しています。

ある55歳の男性患者は、トルコのある植毛クリニックで医師資格のないスタッフが執刀する植毛手術を受けました。

その結果、男性は帰国からわずか3日後に移植部分の頭皮が黒く変色する「組織壊死」を発症しました。

報告によると、壊死の原因は資格のないスタッフが血管の位置を考慮せずに移植ホールを密集させすぎたり、深く作りすぎたりしたことで、頭皮への血流が絶たれてしまったことでした。

さらに問題なのは、患者がこの状態をトルコのクリニックに写真で報告したところ、クリニック側は一切の連絡を絶ち、何のサポートも行わなかったという点です。

このように無資格者の施術は、移植部分に壊死が起きるリスクはもちろんのこと、その後クリニックから見捨てられ泣き寝入りするリスクを同時に抱えているのです。

参照:SCALP NECROSIS AFTER A HAIR TRANSPLANT: A CASE STUDY

トルコ植毛で事故を防ぐための3つの対策

トルコ植毛で事故を防ぐための3つの対策

ここまでトルコ植毛の危険な側面を解説してきましたが、もちろんすべてのクリニックが危険なわけではありません。

多くの優良なクリニックが存在し、数多くの患者を満足させているのも事実です。

事故を未然に防ぎ、安全に手術を成功させるための3つの対策を説明します。

実績と口コミが豊富な大手クリニックを選ぶ

事故を避けるための最も確実な方法の一つは、豊富な実績を持つ大手クリニックや、評判の良い窓口を選ぶことです。

長年にわたり多くの症例を手がけてきたクリニックはそれだけで信頼性の高い指標となります。

まず公式サイトで公開されている症例写真の数と質を確認してください。

次にSNSや個人のブログなどで、実際にそのクリニックで手術を受けた人のリアルな口コミを探しましょう。
良い評判だけでなく悪い評判にも目を通すことで、より客観的な判断ができます。

大手クリニックは評判を非常に重視するため、衛生管理や医師の質、アフターフォローに至るまで高い水準を維持している傾向が強いです。

また、資本力があることで、最新の医療設備を導入しやすく、より安全性の高い施術が受けられる可能性も高まります。

安すぎるプラン内容には要注意

費用はクリニック選びの重要な要素ですが、「安さ」だけで判断するのは非常にリスクがあります。

まずはトルコ植毛の費用相場を把握することが大切です。

一般的に、航空券代を除き、手術費、ホテル代、送迎、通訳などがセットになったパッケージプランで55万円〜80万円程度が一つの目安となります。

もしこの相場から大きく逸脱した、例えば20万円台などの格安プランを見つけた場合は、まず疑ってかかるべきです。

その価格で提供できる理由を冷静に考えてみてください。

「なぜこんなに安いのか?」と疑問を持ち、費用の内訳を徹底的に確認する姿勢が重要です。

「手術費用」として提示されている金額に何が含まれ、何が含まれていないのかを明確にしましょう。

麻酔代や薬代が別途請求されたり、質の低いホテルが用意されていたりするケースもあります。

料金体系が不明瞭なクリニックは避け、明朗会計なクリニックを選ぶのが賢明です。

事前カウンセリングで起こりうるリスク説明を受ける

信頼できるクリニックや窓口は、必ず手術のメリットだけでなく、起こりうるリスクやデメリットについても正直に説明します。

日本で行われるオンラインカウンセリングや、現地での術前カウンセリングの際に以下の点を確認してください。

・感染症や頭皮の壊死といった最悪のケースのリスク
・必ずしも希望通りのデザインになるとは限らない可能性
・移植した毛が生着しない確率
・術後の腫れや痛みの程度と期間
・万が一トラブルが発生した際の保証内容やアフターフォロー体制

もしカウンセラーが良いことばかりを話し、リスクに関する質問をはぐらかしたりするようなら、そのクリニックは慎重に見極めた方がよいでしょう。

あなたの不安や疑問に真摯に向き合い、納得できるまで丁寧に説明してくれるかどうかが優良なクリニックを見極めるために重要です。

トルコ植毛で失敗しないための事前チェックリスト

トルコ植毛で失敗しないための事前チェックリスト

これまで解説してきた内容を踏まえ、あなたがクリニックや窓口を選ぶ際に最終確認として使えるチェックリストを紹介します。

トルコへの渡航を決める前に、すべての項目をクリアできているか必ず確認してください。

  • 医師の経歴は確認しましたか?
    担当する医師の氏名、経歴、所属学会などが明確に公開されていますか。
  • 症例数は十分ですか?
    植毛手術の症例は豊富にありますか。症例数を公開していない場合は注意が必要です。
  • SNSやブログでの第三者の口コミは確認しましたか?
    公式サイトの良い評判だけでなく、中立的な立場からの評価も調べましたか。
  • 料金体系は明確ですか?
    追加料金の有無や、料金の内訳はすべて把握できていますか。
  • 相場からかけ離れた安さではないですか?
    安すぎる価格の裏にあるリスクを理解していますか。
  • 日本語サポート体制は万全ですか?
    契約からカウンセリング、現地での通訳、帰国後の相談まで一貫して質の高い日本語サポートを受けられますか。
  • リスクやデメリットの説明は十分にありましたか?
    良い点だけでなく悪い点についても正直な説明を受けましたか。
  • アフターフォローは充実していますか?
    帰国後にトラブルが起きた際の連絡先や対応方法が明確ですか。
  • クリニックの衛生管理に関する情報は公開されていますか?
    使用する器具や手術室の衛生基準について確認しましたか。

トルコ植毛で死亡事故はあるのか?

Googleで検索すると、関連検索に「トルコ植毛 死亡事故」という言葉が出てくるため、不安に感じる方もいるかもしれません。

実際に海外の一部ブログなどで、稀に事故例が語られていることもありますが、死亡事故が確実にないとは言い切れないのが現実です。

主な原因としては、植毛手術の際に使われる麻酔に対するアレルギー反応や投与量の管理不足などが考えられています。

麻酔は植毛において非常に重要な工程であり、専門医が常駐していないクリニックでは、十分な体制が整っていないこともあります。

特に海外では、国によって麻酔に関する法律やルールが異なり、トルコは比較的厳しい管理体制が求められています。

だからこそ、しっかりとした設備と麻酔管理体制が整ったクリニックを選ぶことが大切です。

万が一に備え、麻酔の管理体制まで含めて確認し、信頼できるクリニックを見極めましょう。

まとめ|トルコ植毛で事故に遭うリスクを減らすにはしっかりした事前準備が必要

トルコ植毛は、費用を抑えながら薄毛の悩みを根本的に解決できる可能性の高い治療法です。

しかし、その裏側には衛生管理の不徹底や医師資格のない無資格者による施術など、深刻な事故につながるリスクが確かに存在します。

重要なのは、これらのリスクを正しく理解し、回避するための知識を身につけることです。
「安いから」という理由だけで安易に飛びつくのではなく、クリニックの実績や評判、サポート体制などさまざまな視点から検証する慎重な姿勢が、あなたの身を守ります。

この記事で紹介した「事故につながるパターン」と「防ぐための対策」、そして「事前チェックリスト」を活用し、徹底的な情報収集と準備を行ってください。

そうすればトルコ植毛における事故のリスクを大幅に減らし、安全に満足のいく結果を得られるはずです。
あなたの植毛が成功で終わることを心から願っています。

【記事監修医】氏家 優斗|東京植毛クリニック院長
宮崎大学医学部卒。大学病院で救急科、形成外科を経て、育毛・AGA分野に専門領域を拡大。現在は東京植毛クリニック院長として植毛手術に携わる。